今日は繊維の汚染問題についてお話ししたいと思います。繊維関係の工場が川や自然を汚すといういわゆる公害問題は、日本でも40年位前には
当たり前のようにあった問題でした。
その後、時代が進みそのような問題はあまり耳にすることも無くなり、解決したかのように
思っていました。
しかし、グローバル・ファッション各社は、近年の過激な低価格競争に夢中になっているうちに、
一番大事なところが疎かで、恥ずかしいことが昨年、ある団体により明らかになりました。
大手ファッション企業が関連する中国の2つの繊維加工工場の廃水の水質調査をした結果、
廃水中には、残留性や生物濃縮性のある有害重金属や環境ホルモンが検出されたそうです。
更に、衣類など製品からも有害物質が検出されたそうで、身近な問題になりました。
遠いどこかの国の汚染の話ではなく、いま自分が着ている服の安全問題でもあるのです。
この問題を指摘された各社は「2020年までには、有害物質をゼロにする」とコメント
しているそうです。
ということは、今後7年はそのままの状態が続くと言うことです。
また、大きな企業は簡単に修正が出来ないということが分かります。
衣類等の製品から検出された有害物質はNEPという物質で、ノニル・フェノール・エトキ
シレートで、酸化防止剤、界面活性剤、ゴム質の劣化の防止剤として使われています。
これは、内分泌攪乱物質いわゆる環境ホルモンで、低いレベルでも食物連鎖のサイクルで
残留し濃縮される厄介な化学物質であり、川や海に住む生き物の繁殖を阻害します。
また皮膚にも影響があり時に痒疹や脱色を起すおそれがあるそうです。
グローバルな大規模生産サプライチェーンはブランドの統一的なイメージを最優先するため
同じ形、同じ色、同じ機能性を提供することを大事にしています。
それらを維持するために、化学処理を多用するのです。
コストなどのためには、環境のことなど後回しにせざるをえないということなのです。
これに対して、オーガニックコットンを始めとするオーガニックビジネスは環境を守ることを
第一に考えたものなのです。