遺伝子組み換え戦争「マニートークス」

NOC(日本オーガニックコットン流通機構)からのニュースレターです。

英語のことわざにmoney talksというのがあります。金がモノを云う、お金で支配するという意味です。
特にこの近代と云う時代は、戦争も含めて事件、政治経済の流れの原因は「お金・利益」を得るためだけに行われていると云えます。

先日、BS世界のドキュメンタリー「遺伝子組み換え戦争”戦略作物”を巡る闘い欧対米」を観て、頭に浮かんだ言葉がこの「マニートークス」でした。                       
原題は「Transgenic War・遺伝子改変の戦争」でフランスのテレビ制作です。フランスは既に遺伝子組み換え作物を禁じています。
ヨーロッパで、他にGMO(遺伝子組み換え)を禁じている国は、イタリア、ドイツ、イギリス、ポーランド、スロベニア、セルビア、クロアチア、ラトビア、リトアニア、オーストリア、ギリシャなど欧州諸国で、アメリカのGMO推進策に真っ向から対抗しているので「欧対米」というタイトルになっている訳です。
ドキュメンタリー映像は、デンマークの養豚業を営むオーナーの証言から始まります。               
「今まで当たり前に遺伝子組み換えの大豆飼料を豚に食べさせていて、生まれた子ブタに異常な病気や奇形が、ある程度発生することは仕方ないと思っていたが、ある時遺伝子組み換えではない大豆飼料に替えてみたら、病気や奇形がなくなって驚いた。
遺伝子組み換え飼料はダメだ」と云います。                   
その遺伝子組み換え大豆はアルゼンチンから輸入されたものでした。そこでフランス人ジャーナリストはアルゼンチンに飛び、聞き込み調査をしてみると、問題の大豆農場の周辺には、なんとあの奇形の豚と同じような症状を発症している子ども達が沢山いたのです。その子供たちの養護施設に入ってその様子をカメラが追ってゆきますが、見るも無残な光景です。
                         
モンサントの除草剤に耐性のある大豆の種が使われています。ラウンドアップという農薬のグリホサートという成分に重篤な病変を起こす作用があるようです。                   
アルゼンチン政府の農業責任者は、アルゼンチン経済にとって、遺伝子組み換えの大豆は掛け替えのないもので、少々の犠牲は仕方がないと言い切りました。あの悲惨な子どもたちを見ての発言かと本当に耳を疑いました。経済優先の情けなさに身が震えました。
そしてアメリカのモンサント、デュポン、シンジェンタなど農薬会社の政府関係者への懐柔策「マニートーク」が奏功していることがよく判りました。
大豆だけではありません、トウモロコシもそして綿花もGMO汚染は既に世界中に拡がってしまっています。                                     
我が日本の政府は、常にアメリカの寄りの政策を進めていますので、GMOは歓迎推進の立場です。中国野菜は農薬が心配だから日本の野菜がいいと云いますが、日本の農産物は単位面積当たりの農薬使用量が、世界でもトップクラスです。                          
また問題のTPPが施行されると、大豆にGMOの表示ができなくなります。納豆が大好きで、お店で納豆を買う時には、必ず「GMOではない」という表示を確認してから買ってきましたが、TPP施行以降は表示が出来なくなり、見分けがつかなくなるようです。本当に困ったものです。
10月23日にCollective Evolutionという情報組織が、「Are you putting carcinogenic chemicals used by Monsanto into your vagina? モンサントによる発がん物質が含まれた生理用品を使ってませんか?」 というショッキングな記事をネットで発表しています。
アルゼンチンの科学者チームが、薬局やスーパーで販売されているコットン製のスキンケア用品や生理用品の85%からモンサントのグリホサート成分が検出されたとしています。この結果は、専門医の会議にも取り上げられました。ここでは、生理用品の他、消毒ガーゼや綿棒、ウエットティッシュなどからも検出されたとあります。
WHO(世界保健機構)の下部組織のIARC(国際癌研究機関)は、今年の3月にグリホサートは発がんの虞ありと結論づけています。
綿花が開いた状態で、農薬が撒かれれば、当然のことコットンの繊維に付着しますので、検出されるのは当たり前という訳です。但し、幾重にも亘る加工工程を経てもなお残留していたというのには驚きました。
無農薬のオーガニックコットンの製品を選択することの重要性がはっきりして来ていると考えられます。

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