2020.12.20
最近頻繁に目にするようになったSDGs。これは2015年に国連で決めた国際社会が2030年にあるべき姿の目標です。Sustainable Development Goals の頭文字を並べて SDGs としています。Organicallyが使用するオーガニックコットンはbioRe プロジェクトにより作られ、まさに環境や生産者に配慮し、持続可能なもの作りを目指しています。そこで、オーガニックコットンをSDGsの17のテーマに照らし合わせ、どれだけ目標に適っているかをまとめてみました。
bioReプロジェクトはそもそもオーガニックコットン事業でインドの農村の貧困をなくすことを目的にしていました。農業者の栽培コストを少なくして、割増価格で産物を買い取り農業者の収入を増やしてきました。綿花だけ単一の栽培をするのではなく生活を安定させるため豆も、麦も野菜も果物、花、家畜まで幅広い有機農業をしています。 6,000軒以上の農家がオーガニックコットンを栽培し、買取り保証や15%のプレミアムといったサービスを利用するなどして貧困から脱するための手がかりを得ています。 また、4つの女性グループが縫製や手織りの生地を生産するための支援を行っており、彼女たちは平均的な賃金よりも高額な収入を得ることができています。
生産するコットンの種は業者から買わずに、プロジェクトから支給し、利子なしの借入ができるようにして栽培の負担をなくしています。収穫物はプロジェクトが割増し価格で買い取り、 5年間の買い付け保証して、生活を安定させています。 コットンの繊維の副産物の種は食用油の原料や家畜の餌として売り、農業者の収入を増やしています。
オーガニックコットン農場では、農薬を使わないので、農業者の健康被害はありません。100以上のトイレの設置と医療バスの配置を行い、農家の人々の健康をチェックする仕組みを設けています。年間7万7千人もの人々がこれらを利用し、マラリアなどの感染症から守っています。
プロジェクトは、高いレベルの教育機会を提供するために地域毎に学校を建設しています。 また、これまで社会的地位の低かった女性が自立できるよう教育指導して有機農業のアドバイザーや、手織り生地の加工や縫製技術を指導して職業として収入が得られるようにしています。
世界の認証オーガニックコットンの畑で働いている10%は女性であり、農業技術の指導者、認証の農業記録係、農場の所有者と活躍の場が広がっています。
オーガニックコットン農場では化学農薬を使わないので飲料水の化学物質汚染は起きません。またオーガニックコットンは保水性がよく灌漑ではなく、雨水栽培ができるので飲料水の確保も可能です。タンザニアに77の井戸と26の貯水のタンクを設けています。これによって3万4千人以上の人々が安全な水を得ることができています。
プロジェクトでは、公共の電気の供給が不十分であるため、ソーラーエネルギーとバイオガスを活用しています。インドとタンザニアで2,840台の高効率なガスコンロと3,238個のバイオガスプラントが利用されています。
世界で認証オーガニックコットンの生産に20万の人が携わっています。 認証規定に農業者の健康、エコロジー、公平、人権保護が盛り込まれています。また、生産者だけでなく商品を作る人、販売する人も物を売るだけでないという気持ちで携わることができます。
オーガニックコットンの生産活動そのものがサスティナブル、エシカル、 事業の透明性を前提に行われています。 年々、生産量も上昇して繊維業界への貢献しています。気候による収穫性のリスクなどに対して産業、社会的基盤の向上も進められています。
オーガニックコットンの生産は現在、インド、タンザニア、中国、トルコ、アメリカの 5カ国で、途上国も先進国も共に行われています。農民の社会的地位が低くかったけれど、 オーガニックコットンの産地では、収入が正当に得られ安定した生活が整い、 コミュニティが自立しています。コットンの生産に携わる多くの女性が自立しています。
農民の収入が上がり、農薬の被害がなく、自然環境が豊かになり、コミュニティーへの定着が進み、土地の価値が高まっています。そして重要なことは、寄付に頼らない住民の自治も進んでいます。
オーガニックを選択することは、畑はどうか、工場はどうか、小売店はどうか、家庭内ではどうかを考えることで、結果として健康生活を得ることができます。オーガニック農産物は大自然の作法に沿って多様な作物を同時に育て、人工的な肥料や殺虫剤など使わない、その結果品質面でも栄養面でも優れていることが証明されています。オーガニックコットンは繊維だけでなく食用油にもなり、オーガニック食品の多様性に貢献しています。 オーガニックコットンの製品の生分解性も優れ、廃棄物の問題の解決策の一つとも云えます。
オーガニックの土壌は二酸化炭素を保持し、それが土壌の力になっています。 一方化学肥料の酸化窒素はオゾン層を減衰することが解っています。オーガニック農業では合成の窒素肥料は禁止されています。bioRe プロジェクトはコットンの単一栽培ではなく、 多様な作物を同時に栽培する輪作や混植をするので、気候変動による収量変動にも対応することが可能です。
オーガニック農業の最大の特長は、化学合成の肥料も殺虫剤も一切使わない事です。 一般の農業では、化学農薬が大量に使われ、土壌から地下水や川にそれらの化学成分が流れてゆき、最終的に海洋に広がり海洋生物への異変をもたらします。 その害悪は海洋生物を通じて私たちの健康を害する結果につながっています。
オーガニック農業では、土壌のあるべき循環を尊重して収穫力を上げるように工夫されています。輪作、混植、耕作地の規模をできるだけ小さくして、地域の自然環境を傷めないように工夫をしています。家畜の育成と植物の栽培の関係に配慮して、相乗効果が上がるようにも工夫しています。また、森林保護や家畜の放牧による砂漠化が起きないように管理しています。
オーガニック農業が健全に発展してゆくために、欠かせないのは農民が自主性を持つ事で、そのためには公平で協力的で民主的で人権尊重が欠かせません。bioRe プロジェクトは農民を中心にして男女差別がなく、協力するための組織があり、優れたリーダーがいて、 地方自治体の支持を得て、国の協力を得て、国際的な協力関係を得てきました。
オーガニックコットンの発展のためには、国際的な協力関係がなければ成り立たちません。 その生産のやり方が、エコロジーであり、フェアトレードであることが認められ共感されないと協力はされません。そのために公平性と情報開示そして良い品質、安全性で世界の消費者の皆さんに喜んでもらえるよう努力を続けなければ成り立たちません。bioRe プロジェクトは、これが実現しているので発展しているのです。
17項目に照らし合わせてみて、改めてオーガニックコットンの魅力を知ることができました。オーガニックコットンに携わる私たちはたくさんの方に、このことを知って欲しいと思います。ただ、ここでいう「オーガニックコットン」というのはbioReプロジェクトで作られたコットンのことであり、その他のオーガニックコットン全てが当てはまるということではありません。オーガニックコットンと言ってもこれほど17項目に該当するものは少ないといって良いでしょう。日本人のSDGsへの認知度は2018年で27%でしたが、今年の3月の調査でも微増の32.9%。世界から相当遅れています。企業だけでなく、今後、消費者も商品の背景についても興味をもち、知る努力も大切ですね。また、企業は良いところだけに過剰にフォーカスするのではなく誠実に情報を提供して欲しいと願います。
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